【終了】ミニ展示「人吉温泉と上総掘り」
資料館では、収蔵資料や市内の資料を紹介するミニ展示を行っています。
今回は、熊本県人吉温泉の上総掘りに関する資料を紹介します(写真パネル 27点)。
全国に拡がった深井戸掘削技術「上総掘り」は、中でも九州で、炭鉱の試掘や温泉開発など、様々な分野に活用されたことが分かっています。2011年(平成23年)、人吉温泉に残る上総掘りの資料から、人吉での技術の様子や上総掘りと地域の関係など、新たな情報が得られました。資料をお持ちだったのは、上総掘りの温泉で創業し、親しまれてきた2つの温泉施設です。7月の豪雨災害では、その泉源も含めて被害をうけた様子が伝えられました。 この展示では、君津で生まれた上総掘りが、遥かな人吉の地で利用され、地域に息づいてきた様子を、資料の写真と報道された被害から紹介します。
(被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。展示した資料が、人吉温泉の歴史の一局面を伝え、その文化の回復と復興への一助となりましたら幸いです。)
パネル巡回展 日程
■久留里城址資料館(二階展示室)君津市久留里字内山
令和2年8月4日(火曜日)から 9月27日(日曜日) 開館時間 午前9時から午後4時30分
■君津市小糸公民館(ロビー) 君津市糠田55
令和2年9月29日(火曜日)から10月25日(日曜日) 開館時間 午前9時から午後10時(日曜日は午後5時まで)
■君津市小櫃公民館(ロビー)君津市末吉128
令和2年11月5日(火曜日)から11月29日(日曜日) 開館時間 午前9時から午後10時(日曜日は午後5時まで)
※11月23日(祝日)は休館
■君津市民文化ホール(ギャラリー)君津市三直622
令和2年12月9日(水曜日)から12月18日(木曜日) 開館時間 午前9時から午後9時30分(最終日は午後5時まで)
※12月15日(火曜日)は休館
新型コロナウィルス感染症への対応方針とお願い
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展示資料から
明治中期に成立した上総掘りの技術は、即時に全国に拡がりました。九州では、鹿児島市の温泉開発や、別府温泉の拡充などの背景に上総掘りがあり、熊本の人吉温泉でも上総掘りによって温泉が掘られました。人吉温泉の「人吉旅館」と「新温泉」には資料が残され、上総掘りによる泉源※が昭和初期に掘られたこと、当時の街の賑わい、技術面の特徴、技術が地元に定着している様子などがうかがえます。※旧泉源も含む
「堀尾温泉工事簿」 1932年(昭和7年)2月15日から12月31日 堀尾マス氏著 人吉旅館蔵
現人吉旅館の上総掘りによる温泉掘削の記録。地質・掘削深度・作業者等が記され、掘削状況や地質がうかがえる。深さは215間(約390メートル)。上総の職人ではなく、芦北郡の親方(鎌田金蔵)の元で球磨郡の職人たちが掘削した事が分かる。他に上総掘りの様子を図にしたメモも残り、技術の概要が分かる。
掘削風景2 1931年(昭和6年)か? 新温泉蔵
新温泉の古写真。二つの上総掘り足場が写り、興味深い。奥の足場は基本的な上総掘りの足場で、手前左にも改良された上総掘りの足場や用具がある。掘削を助ける太い竹の「ハネギ」から、そこにかかる力の強さもうかがえる。新温泉には、他にも古写真が残り(「熊本運動会優勝記念」1934年、「人吉観光温泉祭」1937年など)、昭和初期の人吉の様子を伝えている。