井戸(殿の下)
井戸(下田)
山本には、14町歩の水田を潤していた市の沢の水源不足対策と農業環境保全のために、昭和62年掘削の自噴井戸が5カ所あります。
かつてこの地には、現在の木更津市下郡字湯名谷とまたがり、里見氏の臣下、山本由那之丞の居城がありました。(「千葉懸誌」大正2年刊)
今でも「東殿の下」「殿の下」などの小字名が残っており、5カ所の自噴井戸の内「殿の下」にある2カ所の井戸は、「殿の下井戸」と呼ばれています。
この井戸は、完成後から3年ほどで生活用水として利用され始め、地元約50戸の生活になくてはならないものとなりました。井戸は深いもので地下600メートルもあり、水量は毎分150リットルから400リットルで、無色無臭の豊富な地下水が24時間湧き出ています。
現在、この井戸水は、地元の生活用水や農業用水に利用されているだけでなく、市内はもとより、遠くは東京都内からも汲みに来る人が増えています。また、最近ではゲンジボタルが確認できるほどに自然の再生がみられ、小・中学生のホタル狩の風情も垣間見ることもできます。
自然の恵みに感謝する地元の人々の気持ちから、水天宮(水神様)の短柱が設置されている山本の「殿の下井戸」は、上総掘りによる「久留里の自噴井戸」と同じく本市の貴重な「水」の遺産です。