上総掘り用具
市内では、久留里地区の自噴井戸など、あちらこちらで地下水が自噴している光景が見られます。
この豊富な水の恵みを、地下からもたらしたものが「上総堀り」であり、今でも技術の伝承や研究実践が行われています。
「上総堀り」は、君津市が発祥の地で、江戸末期の金棒による井戸突堀り技法に代わり、明治期に生み出された画期的な工法です。
モウソウ竹のヒゴを用い、先端には、掘削するときに石や岩などを砕く鉄管と堀りくずを吸い上げ井戸の穴を清掃する吸子(すいこ)が取り付けられています。そのヒゴを、竹でできたハネギと呼ばれる道具につなぎ、竹の弾力性を利用してヒゴを上下に動かしながら掘削していきます。
明治19年(1886年)には、300間(約540m)の深さまで掘削できるほどになりました。
今でも、上総掘りで掘られた井戸水は、飲料水として、またカラー栽培などの農業用水としても利用されています。また、竹ヒゴと簡単な鉄製部品を使い、少ない人力で深く掘削できるため、水不足に悩む東南アジアやアフリカの地域でも、その技術が生かされています。
日本のみならず、世界でも活躍している「上総掘り用具」は、久留里城址資料館に展示されています。