常代遺跡出土の木製品「又鍬」(平成18年8月号/2006)
水田に水が入り始め、田植えの準備をする季節となりました。 ところで、水田による稲作が君津に伝わり、広まったのは、いつごろの事でしょうか。平成6年度に発掘調査を終えた「常代遺跡(とこしろいせき)」の調査結果は、そのころの様子を鮮明に描き出しました。
常代遺跡は約2100年前の弥生時代の遺跡だと分かりました。水田の跡こそ発見されませんでしたが、イネの化石・おにぎり状の炭化米、さらには田に水を引くための堰や水路の跡が見つかっています。そして、小糸川の支流と考えられる川の跡からは、農耕の道具など5千点もの木製品が現れました。普通、木は土の中で腐ってしまうのですが、地下水に漬かっていたため、時を超えて残ったのです。相次ぐ貴重な発見は、「千葉版・登呂遭跡」と騒がれ、新聞の紙面をにぎわせました。
さて、写真は又鍬(またぐわ)という農具です。アカガシという硬い木で作られていました。現在、田起こしなどに使う備中鍬(びっちゅうぐわ/君津では「万能」や「マンガ」と呼ぶ)と変わらぬ姿で、弥生のころには今のような形になっていたことがわかります。 こうした木製品は平成18年3月14日に、県の指定文化財になりました。千葉県の弥生時代を物語る代表的な資料として認められたのです。
常代遺跡の木製品は、県内外の各地の博物館の展覧会で紹介されることもありますが、通常は久留里城址資料館に常設展示しています(※開館日注意)。また、千葉県教育委員会が文化財を紹介するホームページ(千葉県ホームページ<外部リンク>)でも、情報を見ることができます。
文 :久留里城址資料館
写真:常代遺跡出土の木製品「又鍬」(千葉県指定有形文化財)