上総掘り発祥地碑
上総高校近くの春日神社前にあるこの碑は、上総掘り発祥を後世に伝えようと小糸町教育委員会が昭和37年8月に建立し、9月18日に除幕式を行なったものです。
鹿野山の東山麓から北山麓へかけての小糸川流域地区には、自噴井戸(掘り抜き井戸)が多く、「小糸」の地名の起こりは「小井戸」にあるともいわれています。また小糸地区には、「泉」「大井」「大井戸」「深井」など、井戸に関係した地名が多くあります。
この地方での上総掘創始者(開祖)は、君津郡誌によると中村糠田(君津市糠田)の池田久蔵であるといわれています。池田久蔵は文化14年(1817)から井戸掘り業を家業とし、その後、孫の久吉を助手としました。そして久吉から親戚の池田徳蔵へ、徳蔵から石井峯次郎へ伝授され明治19年頃に竹ヒゴ式の上総掘りが成立されたといわれています。上総掘りの用具は一部を除けば比較的身近な材料で自作でき、また技術の習得も比較的容易で、見よう見まねで腕に覚えのある器用な農民が自家の耕地に掘り抜き井戸を掘ったことで広く普及したようです。
水量も豊かで一定温度を保有する掘り抜き井戸の水は、現在でも農業用水として利用され、全国一の生産量を誇るカラーの水耕栽培等に使われています。